「やさしさの根っこ」
一昨日、
創年市民大学の公開講座(人権教育講演会)として、風の丘阿蘇大野勝彦美術館館長を講師に招き
「みんなやさしさの 根っこでつながっている。」と題して1時間半の講演が行われた。
先生はもともと親の家業(農業)を引き継いだ一農夫であったが、今から20年前、45歳のとき農作業中のトラクター整備中に誤って(先生は予定なしでと表現された。)機械にはさまれ両腕を切断の事故にあった。
以後、詩集、詩画集を出版、阿蘇に美術館を開館、同時に海外を含め各地で記念講演会と個展を開催、阿蘇「風の丘」ではお客さんとの出会いを楽しみながら個展、講演会を開いておられる。
さて、現在新聞、TVなどで知るとおりやるせない、せつない、腹立たしい事件の頻発が毎日の如く報道されているが、先生の講演は「痛みの分かる人間の問題」を取り上げ、突然の事故で両腕をなくし、自分を取り巻く世界が全然別のものになったといわれる。
事故後の先生には、悲観的、悲壮感などの言葉は微塵もなく、明るく、何事もアクティブに捉えられている。取材に来たNHK記者に「なぜあなたは、あのような事故にあいながら最初から毎日をニコニコ笑いながら生きておられるのですか?」
と尋ねられ、
「どうにもならない、腕が生えてくるわけがない。……それでも私は生きてゆかなければならない。母や妻や周りの人たちを泣かせない為にはニコニコ笑っているしかない。」と応えられたという。
「幸せとは?」……それぞれの自己の心の持ちようである。
「やさしさとは?」……何事にも目をそらさない。(先生の話の中で母、妻、子供、周りの人に対する思いの深さが「やさしさ」の原点ではないかと思った。)
「ありがとうの言葉」……人の気持ちが分かるということは、相手のことを考えているということである。
先生の言葉はただ感動するばかりであった。
講演の最後に畳一畳ほどの貼られた白紙に、真ん中に大きく
「道」と書き、その周りに
「この道でよかった。お陰であなたに逢えた ありがとうの自分にあえた」と筆で墨痕鮮やかに書かれた。
皆さんも機会があったら是非聴講されることをお勧めします。
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