寅さんを偲ぶ
今年は、フーテンの寅こと
「渥美清」さんの13回忌、映画「男はつらいよ」の誕生40周年に当たる。
皆さん知ってのとおり芸名「渥美清」さんは、役名「車寅次郎」、本名「田所康雄」に加え、趣味の俳句の俳号「風天」の四つの名前を持っている。
<お遍路が 一列に行く 虹の中>(風天)……渥美さんというより寅さんの句である。
渥美さんが演じ続けた
「車寅次郎」 ……
稼業テキ屋、一年中素足にサンダル、胴長短足、下駄顔、一重まぶた。
歯切れが良く、声が良く、アドリブの凄いあの啖呵売(たんかばい=巧みな話術で客を楽しませて商品を売る販売法)は、映画の寅さん以前からやっていたというより、渥美さんの啖呵売が面白くて寅さんが生まれたという。
映画の前1968(昭和43)年~69年まで、フジテレビドラマ「男はつらいよ」があり、その最終回で<
ハブに噛まれて寅さんが死ぬ>というストーリーに
抗議が殺到し松竹が映画化した。
毎回、マドンナ(大物相手女優)が入れ替わる「男はつらいよ」は国民的映画として、お盆と正月、年2回のイベントだった。
1969年第1作の劇場公開以来、1996年まで全48作が製作された。1996年正月映画「
男はつらいよ・寅次郎紅の花」が最後の作品となる。
生前、決してプライベートを見せなかったことで有名な渥美さん、「男はつらいよ」がシリーズ化されてから「寅さんのイメージが壊れる」と他の映画には出ないようにした。
どれほど魅力的な男だったか。女性からも男性からも、老若男女皆から好かれ、人にやさしさをもって笑いと元気を呉れた。
今日にでも、そのあたりの道端で「
ヨオッ」と声をかける寅さんに出会えそうである。