天下を制したDNA
戦国最大の勝利者は、
信長でも、秀吉でも、家康でもない。この国の支配者を自分の子孫で埋め尽くしたのは、誰あろう
女の天下人「小督(おごう)」である。
母は戦国一の美人で信長の妹・お市、父は北近江の戦国大名・浅井長政、茶々(淀殿・秀吉の側室)・初・小督の「浅井三姉妹」の末妹である。
この姉妹の数奇な運命はよく知られている。茶々は大阪夏の陣で秀頼とともに一家全滅。初は京極氏に嫁いだが子は皆無。
小督は最初、佐治一成に嫁ぎ、のち秀吉の策略で養女となり信長の四男・秀勝に嫁ぎ、秀勝の病死後、家康の長男・秀忠に嫁ぎ、後に徳川二代将軍秀忠の正室・お江与の方となる。
徳川秀忠に嫁いだ小督だけが子孫を残した。それも半端な残し方ではない。東京芝の増上寺から、彼女の火葬骨が発掘されているが、
推定身長は139cm以下という。
そんな小さな体から、この国の権力を生んだ。
長女千姫は秀吉の嫡男・豊臣秀頼に嫁ぎ、四女・和子は後水尾天皇に嫁ぎ明正天皇を産む、次男・竹千代は後の三代将軍家光となる。
天皇も関白も将軍も彼女の血統となり、この国の貴人は、殆んど彼女の血を引くことになった。
今の天皇陛下も小督から数えて13代目にあたる。
小督はまさに「DNAの天下人」となった。
残っていた2輪の
「月下美人」が開花した。月下美人は美しい、綺麗な花と言うだけでなく、
満月に近い一夜だけにしか咲かない。朝になると萎んでしまう。珍重がられる所以だろうか。