全力プレー

古葉茶庵

2012年06月05日 12:05


 私が巨人ファンだから書くわけではない。たまに代打、代走でフイールドに立つ選手の感動の物語
 
 打球が右中間深くへと弧を描く、センター松本が必死の形相でボールを追う。間に合わないと見て横っ跳びに体を投げ出す。めいっぱいに全身を伸ばし腕を突き出すが捕球出来なかった。

 松本は昨年4月、難病と闘う13歳の少年を「サプライズ訪問」で見舞った。

 少年は「松本選手のダイビングキャッチが大好き」と目を輝かせ「外出できるようになったら東京ドームに応援に行きます」と約束し、つらい治療を続けた。2軍生活に甘んじていた松本も1軍昇格を約束した。

 季節は巡り春が訪れる。球団スタッフの携帯に少年の祖母から連絡があった。「いろいろ励ましていただきありがとうございました。孫は逝きました」‥‥と。

 それから2ヵ月後スタッフは悲報を松本に知らせる。松本は「ほんの少しでも希望をあげられるなら、僕は幸せ者だと思う。彼に気持ちが届くようこれからも頑張る」という。

 3日のオリックス戦、代走としてフィールドに立った背番号31は、2盗に続き1ヒットでホームを駆け抜けた。


 私も孫たちに、今自分が置かれている位置で全力プレーをするよう応援している。