右利きの左
先日、孫から鉛筆削りを頼まれた。孫達は鉛筆を削るのは電動シャープナーを使うので肥後守(工作用ナイフ)は使えない。
肥後守で鉛筆を削るとき、肥後守の背に左手親指の腹をあて、刃物を前方に押し出すのも、鉛筆をぐるぐる回したり、繰り出しているのもすべて左手の指たちだ。
右手は? 肥後守を握っていただけ……そうなんだ鉛筆をきれいに削ったのは右でなく左手なんだ。
左手は右手よりも活躍している。
本日、「日曜大工講座」……板を鋸(のこぎり)で挽(ひ)くとき、鋸の柄を両手でしっかり握り締めて挽くと、板は必ずと言っていいほど曲がって切れる。
板をまっすぐ挽きたいなら鋸の柄は右手だけで握って挽く。左手は? 掌で鋸の柄を板に押し付けるに留めると板はスパッとまっすぐに切れる。
両手に別々の仕事をさせると良いという。そうして考えてみると、楽器演奏も、弓の操作もすべて大事な作業は左手が主役といえる。
かって日本人は器用だといわれてきたが、器用な手は言い換えれば両手がうまく連動して働く手だ。
正確に動くパワフルな右手と、意のままに働いてくれるセンスのいい左手の組み合わせが器用な日本人の手を再び取り戻せるという。