水穂の国
正月早々、だから神話を訪ねてみよう。我が国最古の古典「古事記」が編纂されて1300年。古事記に書かれた天孫降臨神話。
天孫降臨は、天孫である邇邇芸命(ニニギノミコト)が高天原(タカマガハラ)の神座を離れ、幾重にもたなびく雲を押し分け、高千穂の地に降り立ったことをいう。
ニニギノミコトは天照大御神(アマテラスオオミカミ)の孫、神武天皇(初代天皇)の曾祖父である。この降臨の地である高千穂とは何処か。長らく二つの本家論争は止まらない。
一つは宮崎県高千穂町、一つは鹿児島県境霧島連山の高千穂の峰(1574m)、それぞれに関連の地名、言い伝えが残る。
本家争いの決着はつきそうもないが、古事記は我が国を<水穂国(みずほのくに)>と呼ぶ。ニニギノミコトの名も稲穂の豊かの実り、高千穂は高く積み上げた稲穂を表すという。
壮大な天孫降臨には、果てしない夢と祖先の素朴な信仰が秘められている。