「お涙頂戴もの」
東日本大震災後、「
お互いさま」という言葉をよく聞いた。
お互いさまを英訳すると”
Help each other"(お互いに助け合う)が一つの訳だというが、
もう一つしっくり来ない。
日本語は「お互い」と言いながら、
自分のことはさておき相手を思いやる語感が強い。
川島英五の歌「時代おくれ」の一節にある……<
あれこれ仕事もあるくせに自分のことは後にする>……と。
「もったいない」のように日本の美徳の一つと言えようか。
さて、今年エッセイ講座、最初のテーマは「
思いやり」が与えられた。私は孫についての楽しい出来事を綴った。先生からそれなりの評価をいただいたが……。
私も人に倣って、なんとか「
お涙頂戴もの」のエッセイを一編書きたいと常々思っているが…。
なにしろ生来の能天気、楽天的に生きてきたため、哀しかったこと、辛かったことも沢山あった筈なのに…憶えていない、出てこない。
楽しい話なのに、
最後にしんみり、幸せを噛みしめ涙がポトリ……
そんなエッセイを書いてみたい。