「希望の春」
日一日と春の陽光が目に見えて強くなってきた。この時期は例年なら桜前線予報が流れ、卒業、入学、就職etc……
希望が高まり、気分も改まる季節である。
勿論、今年は違う、
沈痛な春である。
被災地は勿論、日本国中でスポーツやイベントなどの自粛ムードが起き、地域の行事も中止や延期が相次いでいる。花見に行くのもはばかられる雰囲気だ。
これらの対応は被災者の方々の心情を思いやってのことだろう。
海外からも「
津波後の日本は、自粛という新しい強迫観念に襲われている」……と言われている。
過度の自粛が、折からの原油・資源高の諸物価高騰の春と重なって、先行きの暮らしの不安感をあおり、消費を縮小させ、経済の停滞を招きかねない。
このことが、かえって復興や支援の力を弱めるのではないかと危惧している。
今こそ、被災者の存在を胸の内に置きつつ、萎縮せず、背筋を伸ばして普通の行動、普通の日に戻ることが大切だろうと思う。