無題 ?
<味噌なめて 晩飲む焼酎(さけ)に 毒はなし 煤(すす)け嬶(かかあ)に 酌させつ> ……で、一人花見酒を飲みながらしんがり争いの泥仕合を観戦しておったが……。
もはや、口に出すのも腹立たしく、口惜しい限りでござる。 まずもって軍(いくさ)奉行の原相模守(さがみのかみ)はお役御免にし、切腹とはいかないまでも、早々に閉門隠居させてはいかがでござろうか。
他藩においては、次々と若武者が名乗りを上げ、戦場(いくさば)を盛り上げているが、我が巨人藩にては大殿の意に反し、すでに死に体ではござるまいか。
先陣があっけなく討ち死になら後詰めも役立たず、まして、鉄砲隊などは無駄玉ばかり撃ちおって、笑止千万至極(しょうしせんばんしごく)にござる。
昨夜は篤姫様もお花見とのこと、我が写したるエレキテル版画の「八重桜」など、とくと眺めて気を晴らしていただきとうござる。 (なんとも、はやお慰めの言葉も見つからず……。)
ご同輩諸君!! 「天晴れ! 天晴れ!」と満面の笑みをもって呵呵大笑の日が待ちどうしいことでござる。