「自己実現」???

古葉茶庵

2010年04月04日 10:42


 松尾芭蕉が久々に訪れた郷里の伊賀で詠んだ句……<さまざまの 事おもひ出す 桜かな>……人は誰でもいろいろな場面で想いだすことが多い。

 四半世紀(25年)前、油も乗り切りバリバリ働いていた頃子供は進学期にあり、職場で多くの新入社員教育に携わっていた。

 当時の若者は新人類と呼ばれ「自己実現」という言葉を好んで使った。「自分らしく生きる」という意味だと共感を覚えた。

 ところが、就職面接で、「御社で自己実現したい」という若者に「生意気な」と思うと同時に怒った面接官もいた。

 「どうして」、「何故」……と思われるかもしれないが、私達の世代はいわば「滅私奉公」で育った。「仕事をするために社員が要るのであって、社員のために仕事があるのではない。」……である。

 今、滅私奉公は死語となり、自己実現も当たり前の言葉となり、「自分さがし」、「自己啓発」など自分周辺の言葉は大繁盛だ。

 しかし、かって自己実現に共感した私も就活戦争の今、面接官に近い気持ちでいる。

 満開の桜の下、自分を始め沢山の人に、得に若者によい思い出を残して欲しいものである。

 我が家の生垣のつつじが咲き始めた。