歌のこころ???
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唄は世につれ世は歌につれ>……その時代、その時代に歌われた唄がある。
そして、時代を超えて歌い継がれる歌がある。人は歌に己を重ね、歌を愛し感動する。そこに人の心をとらえて離さない歌の心がある。
今年、森繁久弥さんが作詞・作曲した「
知床旅情」を唄って50周年になるという。
俳優「森繁久弥」は昨年11月に亡くなったが、1960年7月知床半島を舞台にした映画「
地の涯に生きるもの」の撮影中に知床の人々とのふれあいの中から生まれたのがこの歌である。
歌手加藤登紀子がリリースし、森繁さんの思いを胸に歌い続けるという。(私は森繁さんが歌う知床旅情が大好きだった。)
彼女がこの歌を歌い始めたころ、「
違うよ」と森繁さんに直された所がある。歌の最後の歌詞である。
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別れの日は来た 知床の村にも
君は出てゆく 峠を越えて
忘れちゃいやだよ 気まぐれカラスさん
私を泣かすな 白いカモメよ
白いカモメよ>
歌の最後は「
カモメよ」ではなく「
カモメを」だと教えられた。
「カモメ」は知床に残される人々のこと、峠を越して旅立つ「気まぐれカラスさん(旅行者)」に知床を忘れないでと「私を泣かすな白いカモメを」と叫ぶのである。
知床に流氷の便りはまだ聞かれない。今日も厳しい冬日か。
声を出して唄ってみて……唄のこころがわかる。