うんざり……
薄墨で塗りつぶしたような梅雨空のことではない。「
うんざり」という言葉について一言。
言葉というものは、勿論時代とともに変わってゆく。特に最近の若者言葉というか、省略言葉は理解しがたくチンプンカンプンである。
このように言葉は、言葉自体も変化するが、中には言葉はそのままで「
言葉の意味」が変化するものもある。
「うんざり」とは、同じようなことが続いて、あきあきしたとき「いつまでつづくんだろう」と思わずつぶやきたくなる言葉である。降り止まぬ雨、繰り返される永田町先生方の不祥事、親や上司の説教……。
世に「うんざり」のタネは尽きない。
この言葉は、古語「倦(うん)ずる」(嫌になる、飽きる)から、あるいは、うなり声のウンウンに由来するともいう。
しかし、古くは予想外の事態にびっくりするときにも使った。
日本国語大辞典には「
夜が明けてうんざりとする嫁を取り」という江戸川柳が引かれている。
……
化粧を落とした素顔を明るい朝の光の中で見て、「ギョギョッ」とでもいった場面か……。
私は今使ってみたい言葉がある。孫のボーイフレンド選びに使わしてもらえるかとも思ったが無視されそうで、もう使える場所はないようである。
……
それは……
「しかるべき人を、しかるべき時に」という言葉である。